2014年4月3日木曜日

彼女がくれた写真


しばらく彼女を見かけない日々だった

何度かメールをしようか、電話をしようか、そんなことをおもったことがあったけれど、それはどこか違うと考えてはちょっとさみしくなりながら辞めていた

ひとつ年上の彼女は、back numberとクリープハイプが大好きで、彼女がアメリカで暮らしていた頃、電話越しで何度も聴いたことがあった


彼女がいない間、こっそり思い出しては何度も聴いていた

私は日常が過ぎていくのをただぼんやりと眺めているようなねこみたいな生活をしていた
正解とかそうじゃないとか、意味とか無意味とか、言葉とか涙とか、無駄に考えてはだんだんとじぶんがだめになっていくのを感じていた

私にはたくさんのできごとがあったし、彼女にもきっとたくさんのできごとがあったのだとおもう

その間、何度か彼女を思い出すことがあって、けれど連絡はせずに過ごしていた

そんなある日、彼女が帰ってきた
卒業の報告とともに、とつぜん
彼女らしい帰ってきかたにすこし笑った

私はおめでとう、と喜び、彼女もまたありがとう、と喜んだ

しばらくして彼女が東京へ引っ越すと連絡をくれたのは、春をほんの少し感じるまだ寒い冬のことだった
彼女から送られてくる言葉は、どれもすこし堅い気した
たぶんドキドキしてるんだろうなあとおもった

その日から何日か経った一昨日の夜、私と彼女はひさしぶりの電話をした

しばらく話していなかった間にあったできごとを隅々まで並べて、順番に話した
懐かしい人の話や、懐かしいできごと、これからのこと、たくさん話した

彼女がいなかったのは、たったの9ヶ月くらいのもので、数字にしてみれば全然大したことはないのだけれど、懐かしい気がしてならなかった

こんな日が来ることを、お互いこれっぽっちも想像してなかったからだとおもう
彼女が東京で一人暮らしを始める日が来るなんてことを、私はこれっぽっちも想像していなかった
あの日のまま、あの時のまま、ずっとこのままの日常が続くんだと信じて疑わなかった

変わったことがたくさんあった
気付いたこともたくさんあった
けれどそんなことにすら笑えて、それからやっぱり私と彼女は夜更かしがすきで、電話で話す内容だけは変わらずくだらないことで、そんなことにすら感動しながら、またねと電話を切った

彼女と出会えたことは、私にとってほんとうにラッキーなできごとだったとおもうし、ちゃんと大人になっていくんだなあとおもった
だめになってもすべてが無意味だとおもえても、ちゃんと前を向いて進んでいけば、もうすこしだけがんばれるかもしれないとおもった

彼女に春の歌を贈った
彼女は、危うく泣きそうになったと言っていたけれど、私もその歌を再生しながら実は泣いていた

どうかどうか、彼女がハッピーでいられますようにと願いながら
それから、出会ってくれてほんとうにありがとう、と声に出しながら


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